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厳しい介護現場の実態! [命]

神奈川県川崎市の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入居者3人が相次いで転落死した事件で、元職員の今井隼人容疑者(23)が逮捕されました。


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この事件は、2014年11月、今井容疑者が当時の職場だった川崎市の老人ホームで入居者の丑沢民雄さん(87)を4階のベランダから投げ落とし殺害したもので、その後も相次いで当時86歳と96歳の女性についても殺害したというものです。


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老人ホームでは、わずか2ケ月という短い期間に3人が夜間に相次いで転落死しましたが、いずれの日も夜勤をしていたのは職員の中で今井容疑者ただ1人だったことから、神奈川県警では早い時期から今井容疑者が容疑者として浮上していたそうなのですが、一方で決定的な証拠がなかったようなのです。


そのため先月下旬から、今井容疑者を数回にわたって任意で事情を聴き、15日になって、丑沢さんについて「殺すつもりだった」と殺害を認める供述を得たのです。


またその供述の中には犯人しか知り得ない情報も含まれていたということで、神奈川県警は殺人容疑での逮捕に踏み切りました。


今井容疑者は被害者に対して「言動に腹が立った」、「(介護に)手がかかる人だった」などと供述しています。


そしてなんと「寝ていた入居者の男性を起こしてベランダに連れて行き投げ落とした」と衝撃的な供述も
しているのです。


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とても許される行為ではありませんし、これからの高齢化社会にとって、とてもおおきな不安材料を残す事件となってしまいました。


入居者のご家族は施設とそこに勤務する職員に信頼を置き、身内を預けているわけですから。


しかし介護現場で働く人たちにとっては「他人事ではない」という意見もかなり多く聞かれているようなのです。そこには厳しい介護現場の実態があるわけです。


それはそれでわかるような気もするのです。


どんなに献身的な介護をしても、大声でわめかれたり、噛みつかれたり、言い掛かりを付けられたり。


いくら認知症が進行している高齢者が相手だと割り切っていても、毎日毎日それが続いたとしたなら、殆どの介護従事者の心が折れてしまうのではないでしょうか?


以前介護の会社にいたときに、ベテランヘルパーさんからある老老介護のご夫婦の話があったのです。


ご主人は、若い頃柔道を習っていたらしく大柄で、一方奥様はかなりほっそりした方だったようです。奥様の認知症が進み、施設を探していたそうですが、空きがなく、やむを得ずご自宅でご主人が、奥様の介護をしながら掃除、洗濯、料理等の家事全般をしていたそうです。昭和の一桁生まれの人が家事全般をするだけでもかなり大変だったと思います。

奥様の認知症は進行し、部屋の中でもあちこちに排泄をするようになり、その後始末もご主人がしていたそうなのです。しかしある時、そんな献身的なご主人に奥様は知らない人が家にいると、錯乱状態のようになり、わめき散らして暴れたそうなのです。

これには我慢を重ねていたご主人の心も折れ、細身の奥様を投げ飛ばしてしまったそうなのです。投げ飛ばした先にはストーブがあり、あわや火事になるところだったと言うことなのです。

結局、何とか遣り繰りをつけて、奥さまは施設に入れられたということでしたが、そのベテランヘルパーさんは一生懸命ご主人を擁護していたのを記憶しています。


感謝の言葉が欲しいわけではないと思うのですが、やっぱり労いの言葉、感謝の言葉、行動、そう言うもの感じとることが一切できないとしたのなら、どれだけの人が精神的につぶれずにいられると言うのでしょう?


勿論、だからといって今回の事が許される訳ではありません。


そんな精神的にも肉体的にもキツい仕事の収入が他業種と比較して「恵まれている」、「保証されている」と言うならまだしも、2013年度の介護職員の平均月給は約22万円と全産業と比較しても10万円近くも低いと言うのです。


「生活出来ない」、「結婚できない」、「身体や心が持たない」等の理由で離職者が出ても、人員補充がされなければ残された介護職員で現場を回さなくてはなりません。


そんなハードな職場で毎日毎日、わめかれたり、叫ばれたり、奇声を発せられたり、噛みつかれたり、文句を言われていたりしたら確かに精神的にも参ってしまいます。


「Sアミーユ川崎幸町」でも約40人強の介護職員の内、2014年度の1年間で全体の職員の約半数が入れ替わっているというのです。


厚生労働省の2014年度分の介護施設などでの虐待の発生要因のトップは「教育・知識・介護技術などの不足」で62.6%、2番目が「職員のストレスや感情コントロール」で20.4%とこの二つで80%を超えているのです。


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辛くてキツイ仕事で、低賃金、そして介護報酬の削減。これでは先々を見通すことができません。職員が定着する方が不思議なくらいです。


しかしこれからの高齢化社会を支えていくには、志を持った介護職員の人たちをどれだけ確保できるかにかかっています。


それなのに何故、その人たちの賃金がこれほどまでに冷遇されなくてはならないのでしょうね?


軽減税率の導入も必要かもしれません。しかし軽減税率を導入するくらいなら、介護従事者の待遇改善を図る方が先決なのではないかと思います。


むしろこういうお金を捻出するための増税なのではないでしょうか?


介護の業界は、負のスパイラルにはまりこんでしまっているような気がしてなりません。この悪循環を断ち切り、これから迎える未曾有の高齢化社会に対応できるようにしなくてはならないというのに、政治家は失言問題や不祥事の後始末ばかりです。


介護職に志を持った人がいなくなる前に何とかしなくては。危機感で一杯です。


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タグ:介護現場
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